愛してるから、憎くて仕方ない
愛してるから、裏切りたい
愛してるから、貴方を試したい

本当はどう思っているのかを…



私は刀を抜き、行く手を阻む目の前の男に切っ先を向ける。


「っ……何故だ…!」


目の前の男は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに険しい顔をして言った。私を睨み付けて、まるでその瞳で射殺すかのように。普通の死神なら怯むほどの霊圧と威圧感。だが三席の私にはなんともなかった。きっと今私の後ろに居る藍染隊長のおかげだろう。そんな事を頭の隅で考えながらも、苦しみと怒りが心を支配していく。


「何故?別に理由なんて無いわ」


私は一つ、嘘を吐いた。
本当は…理由がある、私にとっては大切で大きな理由が。

何故、私の事を好きだと言ったの?
何故、私を抱き締めたの?
何故、あの人に心を置いていくの?
何故、何故、何故…

もう、うんざりだ。貴方は私ではなく、血塗られて倒れているその人を今選んだではないか。私を好きだと言いながらも結果的にその人の元へ行ってしまうではないか。


「裏切るのに、理由なんているかしら」
っ…!!」


彼は私の言葉を遮るかのように、声を荒げた。無駄よ、どんなに貴方がもがいても私の意志は揺るがない。もう決めた事、もう迷わない、惑わされない、そう…決めた。愛だの恋だのくだらない。それは貴方から教わったの。これからは、自分の為に生きていく。私を睨み、けれど苦しい表情をする彼。

ねぇ、その怒りと悲しみは誰のため?

そんな想いが考えが、私の脳裏によぎった。


「サヨナラ…冬獅郎」


瞳を逸らさずに無情で見つめる私と刀を構え歯を食いしばり私を睨む彼。早くこの場を離れるために。私の意志が揺らぐ…その前に。私は冬獅郎という目の前の死神を、斬った。

倒れ込む彼、落ちる氷、知らないうちに流れていた涙。


「私を、殺しに来て……必ず」


せめて、私の最後の願いだけは
貴方が叶えてくれと
そう願うばかりで…

最後の最後に貴方を試そうと
わざと残した台詞は
私自身に思い知らせる事となった


まだ私は、貴方の心を掴もうとあがいているのだ



無駄な事だとわかっているのに…




愛+寂しさ=裏切り




今度は貴方の刃を受け入れるわ
その時私のあがきも終わるから
それまでは貴方の心臓私のものよ